お仕事に関する悩み事は多かれ少なかれ老若男女誰しもが抱えているものです。
ところが、多くの女性が経験する妊娠・出産・育児などライフイベントが変化するタイミングでのお仕事に関する悩みというのは、まったくの別物です。
そのひとつに育休明けの働き方で多くのワーママが苦しめられています。
育休明けの働き方としては、主に次のようなケースがあります。
- 正社員としてそのまま働き続ける
- 時短勤務に変更して働く
- 雇用形態を正社員からパートに変更して働く
- 転職して新しい環境で働く
- 起業して自分の裁量で働く
- 仕事を辞める(専業主婦になる)
※元々正社員として働いていた場合
育休明けに働き方を変えたワーママは、その決断に至るまでに色々な葛藤があったことでしょう。
そして、働き方を変えたからといって、悩み事が全て解決しているということでは決してありません。
そんな育休明けに働き方を変えた(る)ワーママへ5つのアドバイスをお届けします。
目次
(1) 働き方を見直すよい機会と捉えよう
時短勤務やパートなど育休明けに働き方を変えた場合は、責任のある職務に就けなかったり、お給料が下がったりとその現実をなかなかすぐには受け止め辛いです。
それでも、与えられた業務をしっかりと行うことで、これまで見えていなかった景色がみえるようになり、自分自身の成長に繋がることがあります。
例えば、保育士の場合、パート勤務になるとクラス担任をもてなくなり、アシスタントという役割に変わります。
クラス担任からアシスタントになることで、これまで自身が担っていたクラス担任という役割を客観的にみることができますし、客観的にみることで、自身の強み(弱み)を再認識することができます。
また、アシスタント業務を行うことでアシスタントの気持ちを理解することができるようになり、これまで雑にお願いしていなかったか?感謝の気持ちを持てていたか?など相手の立場に立って物事を考えられるようになります。
今までやったことのない仕事にチャレンジすることは自身の仕事の幅を拡げる絶好の機会なのです。
これから、まだまだ働くことを考えると、客観的な視点をもてること・相手の立場に立てること・仕事の幅を拡げることはこれから先長く働く上でものすごく重要なことです。
バリバリ働いていたら気付かないままだったことを考えると、育休明けに働き方を変えることは、自分自身の働き方を見直すよい機会と捉えてみてください。
子供が大きくなり、子育てがひと段落した際には、再度バリバリと働くことはできますので、焦らずこの機会をさらなる成長のための大事な準備期間・助走期間と考えましょう。
(2) 思い切って子供中心の生活で考えてみよう
母親に甘えてきたり、わがままを言ってきたりと子供が幼い時の時間は人生の長さからするとほんの僅かです。
仕事も育児も中途半端になってしまうくらいであれば、その僅かな時間は仕事よりも子供中心で考えてみてもよいのではないでしょうか?
子供の好奇心・チャレンジする姿勢など子育てを通じて、親が子供から学ぶこと・気付かされることはいっぱいあります。
育児を通して忍耐力がついていたり、いつのまにか人間関係の中で積極的になっていたりと親も実は成長をしています。
そして、何よりも子供を通じて知り合ったママ友は今後ものすごく貴重な存在になっていきます。
保育園や幼稚園で知り合ったママ友は、子供が小学生になったときに本当に頼りになります。
子供に何かあったとき、自分が困ったときに助けてくれるのは、家族だけでなく、ママ友だったりもしますので、働き方を変えた、今、この瞬間を大事にしてみてください。
例えば、育休明け〜子供が小学校の低学年までは、思い切って子供中心の生活で考えてみてもいいと思います。
子育てがひと段落した先輩ワーキングマザーに話を伺っても
「夜や休日も子供より仕事を優先したことを後悔」
「子供が居なければ、今の私はいないと思うくらい全てが子供に育てられた」
「もっと子供との時間を持ち、子供の笑顔や失敗・成功を見たかった」
「子供が幼いうちに近所にママ友をつくっておけばよかった」
「親を必要としている時期にたくさん子供と向き合う時間を持てば良かった」
「出産・育児と毎日挑戦と奮闘する中で、自分が別人と思うくらい成長した」
など、子供よりも仕事中心だったスタイルを後悔している方や子供と過ごすことで自分が成長したという方が多い印象でした。
子供中心の生活でいられるのも子供が大きくなるまでの一時的なことですので、思い切って子供中心の生活で考えてみてください。
(3) 世帯収入が減るのでこれを機に支出の見直しを図ろう
時短勤務にパートなど働き方を変えるとお給料が下がってしまうことは誰しもがわかっていながらも、お給料日にはその現実にショックを隠しきれないワーママは多いようです。
でも今はその現実を受け止めるしかありません。
大事なことは、しばらくの間は世帯収入が減るので、これを機にご夫婦で話し合いを行い支出の見直しを図ることです。
特にそれまでの生活が共働きということで、気持ち的にも経済的にも余裕があり、生活水準をあげていたのであれば必ず見直しが必要です。
見直しの対象としては、
- 生命保険や医療保険などの保険
- 外食費
- 旅行などのレジャー費
- 携帯電話などの通信費
- 毎日の生活費
などが主なものになるでしょう。
中でもだいたいのご家庭が保険の見直しをしていないため、毎月、多額の保険料を自動で引き落とされています。
日本では、比較的保険に入ることが当たり前と思っている方が多いのですが、共働きの場合は、高い保険料を払うよりはむしろしっかりと貯蓄をした方がよいケースもあります。
どの保険に入るか?ではなく、そもそも保険に入る必要があるか?から検討してみてください。
働き方を変えたあとはしばらく世帯収入を増やしていくことは難しいと思いますので、とにかく出費(支出)を減らす努力が必要です。
思い切って、パートで稼いだ妻の給料は無かったものとみなし、そのまま貯蓄しておくくらいの方がちょうど良いかもしれません。
(4) 完璧を求めず手抜きを覚えよう
育休明けの職場復帰後は、体力が落ちていたり、生活リズムが戻っていなかったりで想像以上に疲れます。
その上で、育児をしたり、家事をしたり、仕事をしたりするわけですから、ワーママは本当に本当に大変です。
さらに、子供の病気で急に休んだり・早退したりすることがあるので、職場では周囲に遠慮したり、気を遣うことばかりで精神的にも疲れます。
働く女性としてママとして、仕事も育児も家事も完璧にこなしたいという気持ちはわかりますが、そのことが苦になっては意味がありません。
最初は無理してでも頑張ってしまうので、なんとか両立はできるのかもしれませんが、育児は長丁場です。
長い期間無理をし続けるのは、体力的にも精神的にも良くありませんので、仕事も育児も家事も完璧を求め過ぎず、良い意味で「手抜き」を覚えるようにしましょう。
どの程度の手抜きしていいのか?はわかりませんが、気持ちに余裕を持てる程度がちょうど良いのではないでしょうか。
家庭内のことは夫にも協力してもらうことがベストですが、最近では、
- 家事代行
- 食材宅配
- ベビーシッター
などワーママを対象とした各種サービスも増えていますので、必要に応じて利用してみるのもよいかと思います。
そのようなサービスを活用すると、「主婦業をサボっているのではないか」とか、「子供に申し訳ない」など深く考える方もいるようですが、年に1回や半年に1回程度の頻度でも構いません。
そのときだけでもいいので、自分自身に休息を与えてあげてください。
両親が近くにいる場合は、両親も孫の成長をみたいはずでしょうし、たまには両親に頼るのもいいと思います。
育休明けで、さらに働き方を変えた場合は、想像している以上に疲れますので、完璧を求めず手抜きを覚えましょう。
(5) ライフイベント毎に働き方を変えられるのは女性の特権
「女性は出産・育児などライフイベントのタイミングで働き方に悩まされるから大変」
「時短勤務にしたら出世コースから外れてマミートラックに乗ってしまった」
「育休から職場復帰したら、役職を剥奪されていた」
女性がライフイベント毎に働き方を変える(変えようか悩む)ことに関して、いろいろなところで、このようにネガティブな表現で語られています。
確かにこれまではそうだったのかもしれません。
ネガティブに扱われることで、ここ数年はメディア等で多くの注目を集めてきました。
ですが、これからはむしろ”ライフイベント毎に働き方を変えること”をポジティブに捉えてみればいかがでしょうか?
よーく考えてみてください。
男性の場合は、結婚しようが、妻が妊娠・出産しようが、働き方は自ら変化を起こさない限り常に一定です。
働き方を緩めれば、給与や役職は上がることがないでしょうから、常に全速力で走り続けるような働き方しかできない男性の方が実は不幸なのかもしれません。
そのように考えると、ライフイベント毎に働き方を変えられるのは女性の特権なのです。
一度きりの人生ですから、その女性の特権を活かして働く時間を短くしてみたり、サポート役に回ったり、起業してみたり様々な働き方をしてみてください。
ライフイベント毎に働き方を選択できることがきっと、未来の”あたりまえ”になり、ポジティブに語れられることになるでしょう。
マミートラックとは
子どもを持つ女性の働き方のひとつで、仕事と子育ての両立はできるものの、昇進・昇格とは縁遠いキャリアコースのことです。
(参考)「コトバンク」